日本に里帰りした時に、いろいろ買った本の中の一冊を読み終わった。郊外ライフは、電車に乗っている時間に本が読めていいね。マンハッタンに住んでいた時は、どこに行くのも徒歩か自転車(アップタウンの遠いところでも小一時間かけて行ってたもんなぁ)だったんで、日本にいた頃と比べて読書量が極端に減ってたけど、ブルックリンに引っ越して回復した。
というわけで、快調に読み終わった本、『やっぱり美味しいものが好き』が面白かったのでご紹介。著者はファッションマガジンのヴォーグのフードライター/料理評論家/美食家のジェフリー・スタインガーテン。
この人の料理に対する執着心、研究心、歴史的、科学的切り口にユーモアを散りばめた考察力、いろいろ実験するだけでもすごいけど、その徹底ぶり、もう、どれをとってみてもすごいので感心しつつ、笑っちゃいます。尊敬。トロについて調べていたら、マグロ釣りにでかけちゃうし、家庭でおいしいエスプレッソを飲むために14台のエスプレッソマシンをメーカーから借りてきて実験するし、もう、どこまでやるねん!とつっこみいれたくなる。
トロ、塩、バゲット、ショコラ、ウェディングケーキ、ポテトグラタン、ブーダンノワール(豚の血入りソーセージで、このためにフランスまで行って豚屠殺の儀式にまで参加し、その後、自分たちで実際に作る)、エスプレッソ、ピザ、パルメザンチーズなどを取り上げていて、全22話構成。どれもお話として面白いし、16のレシピも載っていて、中には、アラン・デュカスのテュイル(薄くて丸まったクッキー)やピエール・エルメのホットチョコレート他、有名シェフや有名レストランのレシピの応用版が含まれていて得した気分。
ジェフリー・スタインガーテンは、ニューヨーク在住なので、フランスの話とともにニューヨークの話も出てくる。私にはとても親しみが持てた(ちらほら固有名詞のカタカナ表記に違和感があったけど)。
食は、料理というクラフトだし、調理という化学だし、その背景には文化やお国柄や歴史がひかえている。どこまでも深くて面白い、ということを教えてくれる、楽しませてくれる本だった。「やっぱり美味しいものが好き」な人にお薦めです。
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●『やっぱり美味しいものが好き』
●『すべてを食べつくした男』
◎原書『It Must've Been Something I Ate』
ペーパーバック|ハードカバー
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≪おまけ≫
カバーがチーズだったので、ここぞとばかりに私のお気に入りのおろし器と一緒に撮影。マイクロプレーンのチーズグレーターなんだけど、これ、パルメジャーノはもちろん、生姜やニンニク、チョコレートとか、しゃぁ~~っとすごい簡単に力なしでおろせてびっくりするよ。プロにもよく使われてます。