タプナードを作って、それでスシ・ロールを作ったつながりで、楽しいスシの本をご紹介。
アメリカで寿司は人気の日本食。というか、サンドイッチとかと並んで普通のデリで売ってるから、お手軽なランチのレギュラー・ポジションを既に獲得したという感じ。日本の寿司に使う伝統的な食材は、ニューヨークだし手にはいるけど、やっぱりお高かったりするので、アボカド入りのカリフォルニア・ロールを筆頭に、アメリカで馴染みのある食材を使った創作スシが生まれるのは、もっともなことだと思う。
『Sushi American Style』は、ロサンジェルスの「Rika's on Sunset」というスシ・レストランのシェフであり、テレビの料理番組にも出演しているトレイシー・グリフィス Tracy Griffith のレシピ&スシ教則本。スシを作るのに必要な道具と食材の説明が少々と、あとはだいたい見開きで片ページが写真、もう一方がレシピという構成。
ポップな巻き寿司と手巻き寿司、そしてこれまでsushiと呼ぶのは反則だと私は思うけど、驚くなかれ、デザート・スシに分けられた全48種のスシ、そして、9種のマヨネーズ&ソースのレシピが載っている。
例を少し挙げると、サンクスギビング・ロール(クランベリーゼリー、マヨネーズ、ローストターキー、セロリ、青ネギ入り)、コルドンブルー・ロール(チキン、ハム、スイスチーズ入り)、カウボーイ・ロール(ビーフステーキの薄切り、山葵マヨネーズ、ブルーチーズ、オニオン、ほうれん草入り)など。
巻き寿司の作り方を知っていれば、写真が豊富なので、材料リストだけ読んで、本文の英語は読まなくても十分作ることが出来る。この本、アメリカ人が初めて出版したスシの本。私は、何に関しても先入観や固定観念は持たず、いつも自由な発想ができるようにしたいなと思っているので、こんな無邪気で元気なお料理は大好きだ。
日本で何年も修行を積んで腕を磨いた職人さんが作る寿司は、勿論尊敬するけど、それはそれ、これはこれ。この本のサブタイトルは、「Easy Techniques 簡単な技術」「Everyday Ingredients 日常的材料」「American Flair アメリカ的なスタイル」。最後のアメリカン・フレアーを「自分流」に置き換えたら、これは、どの家庭料理にとっても大切なことだと思う。
こんなカラフルなお寿司なら、冷えた白ワインと一緒につまみたい。カフェなんかで出てきても良さそう。というわけで、お寿司をもっと気軽に家庭で楽しみたい方、カフェの創作メニューを一品増やしたい方、創作スシカフェをオープンしたい方(笑)にお薦めの一冊です!
◎Sushi American Style 著者:Tracy Griffith 洋書(英語)、ハードカバー、全144ページ(amazon.co.jpの情報、違ってます)、サイズ: 20x23.6x1.6cm |
その他、私が読んだ(眺めた)スシの本
◎Sushi Modern 著者:Hideo Dekura 洋書(英語)、ハードカバー、全111ページ、サイズ: 23.8x24.6x 1.4cm こちらも創作寿司だが、魚の裁き方、包丁の研ぎ方、握り寿司のレシピもあり。材料が日本だと入手しにくいものもあるし、作るのに技術が必要なレシピもあって、ところどころかなり上級者~プロ向け。 例:ブルーベリー・スシのハニー・チリ・ソース、マンゴー&キムチ握り、ブルーチーズとパスタラミのミルフィーユ・スシ amazon.comで、カバー写真をクリックすると本の中身は少し見ることができます。 |
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●寿司、プリーズ! ―アメリカ人寿司を喰う 著者:加藤裕子 和書、新書、全237ページ アメリカにおけるスシの発展、普及ぶりが軽快に書かれていてぐいぐい読まされました。内容は、アメリカ在住者なら知っていることが多いが、それでもエッセイとして面白かった。 |
●すし・寿司・SUSHI 著者:森枝卓士 和書、新書、全215ページ 古代アジアの寿司から、現代日本に続く江戸前寿司やいろいろ地方にある寿司、そして世界中で拡大解釈されて広まった創作スシまでを、その歴史、文化的背景とともに取り上げている。読んで、東南アジアのナレズシ、日本の鮒寿司といった発酵系の寿司が食べたくなったが、未だ実現せず・・・。 |