ニューヨークおでかけ

マチス展@メトロポリタン・ミュージアム

2005年9月18日

メトロポリタン・ミュージアム

ニューヨークに住んでいて、これは特権だよなーと思うのは、すんばらしい美術館がいくつもあって、特別展で興味のあるものがあると、その度ひょいっと見に行けること。MoMAは、去年のリニュアル再オープンの直後は長蛇の列ができていたけど、今はそんなこともないし、入場するのに並んだり、入ってから人が多すぎてゆっくり見られなかったということがないからいい。


アートや映画、音楽、小説って、作品から何を受け取るのかは自分次第なので、時間がたって、また鑑賞すると、また違った発見があったり、感想を持ったり、好き嫌いも変わったりして面白い。

土曜は、同居人ダーリンと、『Matisse: The Fabric of Dreams―His Art and His Textiles (マチス:夢のファブリック--彼の作品とテキスタイル)』を目当てにメトロポリタン美術館 (MET メット) に行ってきた。特別展で写真は撮れなかったので、作品はメットのサイトでご覧ください。私は、マチスが好きで、テキスタイルも好きなので、こんなエギジビションやられたら、見に行くしかないです。来週末で終わっちゃうので、やっと行けて嬉しい。

お馴染みの作品がほとんどとはいえ、何度見ても好きなのでうれしくなる。アンリ・マチスの作品は、好きな人が多いと思うけど、色がきれいで、ラインが奔放で、見てて楽しくなる。一番好きだったのは、『The Dream』という油絵。初めて見たわけじゃないけど、今日見て、すごくいいなと思った。

ルーマニアの民族衣装の刺繍のブラウスを着た女性がテーブルの上につっぷして寝ている図なんだけど、絵を構成しているパーツの形がかわいいし、色も、レイアウトも全部好き。モデルはポーズをとってただけだと思う(本当に寝ちゃったかな?)けど、有機的な抽象画にさえ見える、全体がお花みたいな絵自体が、作品のタイトル通り「夢」みたいだし、この女の人がすごく楽しい夢を見てるみたいにも見える。

笑ったのは、この絵が掛かっていた部屋、ルーマニアのブラウスが飾られているとともに、何枚もの習作というか、女性のモデルが同じブラウスを着たドローイングがあったんだけど、タイトルが全部同じで、『Romanian Blouse』なの。普通、こんなのだと、「ルーマニアのブラウスを着た女」とか、そんなタイトルじゃない?なのに、「ルーマニアの‘ブラウス’」ですよ。モデルはどうでもよかったのね。ルーマニアのブラウスにマチスの全ての関心は向いていたのね。

他の部屋では、マチスのコメントとして、「モデルと同様に、ファブリックも作品の中ではとても重要な位置を占めている」とかもっともらしく書いてあったけど、絶対、ファブリックの方に神経も時間も使ってたに一票。

圧巻だったのは、5 m x 10 m って感じ(大きさ適当。とにかく大きかった)の麻のキャンパス地の上に葉っぱ模様のキリヌキをモチーフにした壁一杯に広がるシルクスクリーン2点。こんな巨大なの、刷れるんだ。一枚物でこんな大きな生地、あるんだ。これ、マチスの作品だから勿論すごい値がつくんだろうけど、麻のこの大きさの一枚物の布っていうだけで、私には手が出ないくらい高いよ、きっと。

先週、私のホームオフィスとクローゼットを仕切るためにキャンパス用の布を買った時、麻がいかに高いかを学習したところなので、妙なところに感心して見入っていたら、隣にいたおじさんが、「すごいよね」って一言同意を求めて話しかけてきた。「ほんとよね」で会話は終了したけど、おじさんのポイントとは違ってたかも(笑)

絵を見に行くと、私は、何かとやる気が出る。絵からも触発されるし、エギジビション会場で、熱心にメモを取ってる人の姿とか、感動したって顔にかいてある人とか見て、なんかいろんなことがやりたくなる。観光でニューヨークを訪れたら、普段は絵に興味がない人も、ちょっとのぞいてほしいなと思う。

クリスト?MET
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●The Metropolitan Museum of Art

 メトロポリタン美術館

1000 Fifth Avenue at 82nd Street

New York, New York 10028

212-535-7710

http://www.metmuseum.org/

月曜休館

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←改修工事中のメット。クリストみたい(笑)


トップの写真は、ルーフガーデン。晩秋までオープン。セントラルパークとマンハッタンの高層ビル群を見渡す眺望は最高。彫刻は、Sol Le Witt の作品。

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