ニューヨーク食べ歩き

NYの精進料理『嘉日』の花コース食べて来た+日本酒ペアリング

2014年10月4日

秋が旬の食材

9月24日に、ニューヨーク、マーレーヒルにある嘉日 Kajitsu (kajitsunyc.com)に友だちと行って来た。待ち合わせして遅刻するのは私と相場が決まってるんだけど^^; この時はYちゃんが遅刻。ほどなく電話がかかってきて、「嘉日ってどこですか?」とな。嘉日はイーストビレッジで最初オープンしたので、そっちに行っっちゃったらしい。で、その同じ場所が、そのままジャパニーズレストランだったので、しばらく気づかなかったっていう。。。orz 不幸って続くものね。

そういう滑り出しで、私はビールでも飲んで待つという手もあったんだけど、久々に着物を着たら帯をきつく締めすぎた。美味しい食事のコースと日本酒のペアリングと心の中で決めてたから、ビールでおなか膨れるのは困ると思って我慢したよ。


冒頭の写真は、秋の山の幸。これから頂くものの盛り合わせ♪ こういうプレゼンテーションがうれしいわよね。3つあるコースの中で、Hanaっていう八品コースに、ハーフサイズで日本酒5種をペアリングしたものを注文。量が半分だからお値段も半分。ちょっとずつ違うのが飲めてお値段控えめになるのは、よいね。足りなかったら追加で別途頼めばいいよと思って試してみたんだけど、とても満足でした。

なんていうか、普段のばくばく食べてゴクゴク飲むモードも楽しいんだけど(笑) 着物だったし?お上品に頂いていると、一口一口の満足度が高くて、足るを知るというか、十分満たされました。

で、最初はこれ。付きだし?お酒だけど。

菊の花びらのお酒

メニューは毎月変わるんだけど、9月と言えば、重陽の節句だし、菊ですよ。菊の花びらのお酒。美しい。この中に満月が映っていないことだけが残念だわ。

次々いくわよ。じゃじゃーん。ススキ。いい機会だから、英語名も覚えておこう。ススキは Japanese silver grass。その辺の公園に似たようなのが生えてる気がするけど、あれはsilver grassで、ススキは日本のものなのね。でも、シルバーの草ですか。風情があるようなないような。英語の名前って、時々がっかりするのよ。黒くて翼に赤い斑点がある鳥の名前を調べたら、red-winged blackbird だったりして。そのままやないかい!みたいな。ま、それに比べたら、銀じゃないものを、秋の光にきらきら光ってさわさわと揺れる光景が目に浮かんで良いかしらね。

すすきの穂と器

ススキは持って帰ってもいいのかなとかドキドキしたけど、持って行かれてしまった。ふたを開けるとじゃじゃーん♪

“月見豆腐”。

月見豆腐

松葉をこんなにきれいに並べて、真ん中におぼろ月よ。感動TT トリュフに銀杏。旬だもんね。三大珍味の中で、キャビアはあんまり美味しいと思わないし、フォアグラは動物愛護的に食べないと決めたし、残るはトリュフよ。銀杏と臭いもん同士。こういう組み合わせ、好きだわ。

右端にちらっと見えてるのがペアリングされたお酒
●きりんざん 純米大吟醸(麒麟山酒造|新潟)

お次は吸物の“松茸椀”。

松茸椀

いつかな、松茸最後に食べたのは。あ、去年日本に帰った時だから1年ぶりか。遠い目になってたけど、普通だった。こちらはオレゴン産だそう。私の記憶が正しければ。

ニューヨークに来たての頃、あれはかれこれ20年近く前のことになるけど、グルメスーパーでもなんでもない近所のグロッサリーストアで、カナダ産の松茸が売られてて、高いから誰も買ってないところを、日本人の私にとっては激安だったものだから、立派なのを1本買って、うちで松茸づくしとかしたものだけど、全然みかけなくなってとても残念。この香り、秋よね~。

汁ものなので、これには日本酒はついてません。

お次は、“芋名月の宴”。八寸。綺麗ね~。

八寸 芋名月の宴 前菜盛り合わせ

山芋とキュウリの串、トマトのジュレ、大徳寺納豆がのった生麩、ロイヤルファーン(ゼンマイ)、ピーナッツ、ブドウの白和え。千葉出身のYちゃんと同意見だったのは、このピーナッツ、ローストじゃなくて、茹でたやつの方が美味しいし、他とも合ってたと思う。ピーナッツって、ローストすると個性強いけど、茹でると固い枝豆みたいな感じ。分類的にも、ピー「ナッツ」って名前ついてるけど、実はお豆の仲間なのよね。

それにしても、今またまじまじと写真を見たら、このピーナッツの皮は、意図的に少しだけ甘皮を剥いてるの?芸が細かい。流石~。

ペアリングされた日本酒、天吹マリーゴールド純米ってメニューに書いてあったから、マリーゴールドっていう名前のお酒なのかと思ってぐぐったら、マリーゴールドの花酵母だった。そして山廃。マリーゴールドも秋の花だし、いいなぁ、こういうの。やっぱり和食の世界って、美しい。しみじみ。あぁ、これ、また飲みたい。

●天吹 山廃純米(天吹酒造|佐賀)

そして続くは“初秋の天ぷら”。

初秋の天ぷら

ズッキーニの花、Dutch flat beans。オランダサヤインゲン?伏見唐辛子。チップスになってるのは、ポテト、レンコン、ニンジン。塩とスダチで。

●尾瀬の雪解け 純米(龍神酒造|群馬)

そしてメインが“‘ロブスター’鍋”。

ヴィーガン・ロブスター鍋

この名前をメニューにみつけ、まずYちゃんは「精進料理なのにロブスター!アメリカだから?」私は「精進料理なんだからそんなわけないじゃん」といなして、出て来たのを見て、「この形がロブスター・テイルみたいでしょってことなんじゃない?」

正解は、ロブスターマッシュルームの出汁でした。中央に横たわっているのは、白菜を巻いた餅と利休麩。

お酒の入ったグラスはこの写真だけ。縦長の大きめのお猪口くらいのグラスに半分。5種のお酒、カットの模様違いで終始このグラス。日本食の場合、個性いろいろな器を見る楽しさってあるから、これももっといろいろだと良かったのにな。冷酒でも、別にガラス製じゃなくてもいいと思うし。うちでテイスティングした時なんかは、単に同じのを持ってないって理由だけど、いろいろなお猪口で楽しかったもん。

●楯野川中取り50 純米大吟醸(楯野川酒造|山形)

そして〆の“旬茸ごぼうご飯”。

日本酒ペアリング

絶品の和食をいただいて、最後のご飯って、本当に落ち着く。〆はごはん以外、私は考えられない。
旬茸ごぼうご飯

お味噌汁と、香の物。この漬け物とごはんは、やっぱり日本人の基本だ。

香の物とお味噌汁

亡き母は、私がフランス料理とかイタリア料理とか、連れて行ってごちそうしてあげても、その時はお洒落な雰囲気にひたって大喜びなんだけど、うちに帰ると、お漬け物をこんな小皿に入れて出して来て、お茶飲んで、「あ~、お母さんは、おいしいお漬け物があったらそれでいいわ~。」とか、ヌケヌケとよく言ってくれたもの。

奢り甲斐のないやつと思ってたけど、その気持ち、年取ったせいか、よくわかる(笑)

ニューヨーク長くて、和食はあまり食べなくて、普段は別にご飯もお漬け物もなくても平気なんだけど、こういう食事をすると、無性においしいご飯とおいしいお漬け物が心にしみる。全身が温まる感じ。うー、泣けてくる!(笑)

嘉日特製讃岐うどん

そんな感動っぷりの隣で、Yちゃんはうどん。この最後は選べたんですね。嘉日特製の讃岐うどん。普通の讃岐うどんより細くて、一見稲庭うどんです。味見させてもらった。勿論おいしかったけど、私はごはんなの。ごはんじゃなきゃダメなの!!!!

●雅山流如月 大吟醸(新藤酒造店|山形)

最後は“栗おはぎ”、抹茶、京都健善良房の“お干菓子”。
栗おはぎ

シェフ

お抹茶

お干菓子

あ~、え~わ~。とこういう時は関西弁。心と言葉が一体になる。

おまけ。久々に着た着物。ニューヨークは涼しくて、普通に単衣でちょうどいい。半衿をお料理に合わせて菊の柄にするコーディネートをうんうん考えた末、長襦袢に既に白半衿がついていることに気付き、あっさり予定変更。きれいな半衿をはずしてまた縫う気がしなかった(笑)

着物単衣

着物

着物、柄は鮫小紋だけど、白と暗い紫の糸の織り出し。帯は木綿で木の葉柄のを角出しで。お料理のテーマが月だったので、白ウサギのブローチを帯留めにしたんだけど、Yちゃんに、しきりにラインストーンのウサギのピンクの目がコワいって言われたけど、私はカワイいと思うので動じない。帯揚げはヴィンテージのポップなスカーフ。足袋は白と決めてます。クリーム色はあり。

着物を着る頻度が激減してるけど、着るとやっぱり大好き着物。あー、楽しかった。毎月メニューが変わるし、毎月行けるといいなぁ。。。

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