とあるお仕事で、ニューヨークのステンドグラスで、できれば教会のじゃないものについてエッセイを書くことになった。と突然言われても、てんで心当たりがない。いろいろ調べたりもしたけど、結局、ほとんど手が掛かりのないまま、一人ローラー作戦よろしく、街中歩き回るしかなかった。そしたら、ちっちゃいものからでっかいものまで、何かといろいろみつかって、私はそれまで気にも留めたことがなかったステンドグラスに、すっかり取り憑かれてしまった。
探索に費やしたのは2日間だったのだが、目を皿にしてステンドグラスを視界の片隅からほじくり出してくるような、あまりに濃密なステンドグラス探しの旅だったので、あれから数ヶ月、木枯らし吹く今となっても、街を歩くと、目が勝手にステンドグラスを見つけてきてしまう。「あ、ステンドグラスだ!・・・・で?だからどうよ」と自分でつっこむありさま。
ステンドグラスというのは、探す気がないと意識の中には入ってこない。なぜならば、表からはただの薄暗いはめこみガラスで、きれいでも何でもないから。だから、このお仕事でお声が掛かるまで、私はニューヨークのあちこちに意外と存在しているステンドグラスの存在に気付かなかった。
見ないと見えない。これは何に関しても真実だと思うが、ことステンドグラスについてはそうである。
ってことで、この時におさめた写真と場所をこれから時々紹介していく。なんせほじくり出してこないと見えてこないものだから、希少価値のあるニューヨーク・ガイドだと思うのだ。ニューヨークに来たら、興味がないっていう人も、だまされたと思って見てみて下さい。中には本当に見とかな損!ってのがあるから。