ニューヨーク食べ歩き

クールなポール、パレスホテル内のコンテンポラリー料理、『Gilt ギルト』

2006年7月25日

ギルト

今、発売されている『料理通信』(r-tsushin.com)の8月号の、コンテンポラリーレシピというところに、私が取材したお料理が5ページ、シェフインタビューが1ページ、全6ページでどかーんと。もう、すごい料理なので、是非見てください♪


クリスマスシーズンのイルミネーションとか、ロビーのクリスマスツリーとかがすんごく素敵なミッドタウンイーストのホテル、パレスホテルの中にできたレストラン、『Gilt ギルト』のお料理+レシピ付き。って言っても、「じゃ、今晩、早速作ってみよか」って人はなかなかいないだろうけど、レシピを読めばある程度味が想像できると思う。

ここは、昔、『Le Cirque 2000 ルサークにせん』があった場所。まぁ、好みは人それぞれだろうけど、私は憧れのパレスホテル~♪と夢見心地で食べに行って、一歩店内に入った瞬間、というか、奥に行けば行くほど「なにこれ、ださっ!」と一緒に行ったYちゃんに訴えたよ。

インテリアデザイナーは、パレスホテルやるくらいだから、勿論、有名な人なんだけど、なんか、変に派手なフュージョン料理とかが出てきそうっていうか、コンテンポラリーをはき違えてるというか、おおよそルサークが出す料理とは合わない変なハイカラカラフルな内装だったのよね。

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今度は超カッコイイ。全くの別物。パレスホテルの風格ある天井やら壁やらが全部見えつつ、モダンでセンスいい~!そして、シェフ、ポール・リーブラント、彼もカッコイー!背がすんごい高くて2メートル近かったよ。最近のこれはトレンドかってくらいシェフってハンサムな人が多い。ほんと、スター化してる。

厨房から離れたところで撮影したので、シルバーのトレーに材料を全部のせて、撮影現場の近くで組み立ててもらった。盛りつけというより、おもちゃの模型とか作ってるみたいだった。

腰を折って、ピンセットもって、大男なのに、すごい繊細な仕事してはりました。すごい真面目。さすがイギリス人。人それぞれとかいうけど、やっぱりお国柄ってものを感じてしまう。

なんかね、トレーの上のモノの並べ方一つ見てもきっちりしてるでしょ?性格でるよね、こういうところに。それでね、トレーが3つ並んだ時点で、カメラマンS氏と、「すごいきっちりしてるよね」って感心してたら、ポール君は、ちまちま~、ちまちま~と鍋の取っ手の角度を変えたり、トレーにのっけてある容器や小トレーの順番を変えたり、まだ整理整頓を続けるわけですよ。



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私たちは、なんか仕事するにあたってきっちりしてないとやりにくいとか、こだわりがあるんだなぁとその様子を見守ってたんだけど、そしたらポール君、一言。「散らかって見苦しくてごめんね」と。

いやぁ、充分きれいなんですけどー。

ほんと真面目な青年で、だからあんな料理が出来るんだなぁと思ったけど、全然ニコリともしないのよね。

皿の上にのってたホイップクリームみたいなふわっとしたパウダーを「これは何?」って指さしたら、「オリーブオイルパウダー」と言われたので、「なんじゃそりゃ~?」とクエスチョンマークを頭の上に放射状に発射してると、「なめてみる?」と右の下の写真で青いラベルがはってあるやつタッパをつきつけられたので、スプーンですくって味見したら、エクストラバージン・オリーブオイルの味がするわけですよ。

「おおおおっ!へええええ~~!ホントだ。オリーブだ」とか言ってると、オリーブオイルパウダー、軽いから私の鼻息で飛んじゃったのか、その後、しばらく私は口の横に白いものをつけたままインタビューを続けてたらしい。

T-T

ポール君、それに気付いてもニコリともせずに、「Ah...」とか言いながら、相変わらず同じ真面目な顔つきのまま、自分の口の横を指さすの。そしておまけに視線がちょっとはずされてるの。見てはいけないものを見てしまったみたいな。

ちょっと、そんな指摘のされ方されると、すごい恥ずかしいじゃん!「きみきみ、口に付いてるよ、あっはっは!」とか、私の方見て笑ってよ!

てなシーンもあったんですが、全体として、なんせ料理が全部びっくりで、非常にエキサイティングな取材だった。ゴマのフィナンシェが宙に浮くし!ポール君、すごい、手品まで~~!(笑)気付くとトリックは簡単なんだが、びっくりしたのなんのって。(きっと、この瞬間、ポール君は顔には出さなかったけど、心の中でニヤっとしたに違いない。)

カメラマンS氏もよっちゃんも、すごい素直だからね。あんな思う壺な取材陣はこれまでいなかったんじゃないかと思うよ。うん。

まぁ、詳しくは料理通信8月号をチェックして下さい♪

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●Gilt ギルト

455 Madison Avenue

New York, NY 10022

212-891-8100

http://giltnewyork.com/

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←の撮影の時だって、料理の説明を聞いた後、「なんか絵本のワンシーンみたいというか、森の妖精とかひょいって出てきて踊り出しそうですね」と感想を述べると、また表情ひとつ変えず、一言、「そう?」と。

どこまでもクールなお方。

まぁなー、ダンスしそうと言われても、なんて答えていいんやら?(笑)でも、私はこの一品を見てると、コビト妖精が葉っぱをカーテンあけるみたいにして持ち上げて出てきて、葉っぱと一緒にダンスしてるのが見えたもんね。もっと私が文学少女だったら、料理みて、一句詠んだに違いない。この一品は、Vert=グリーンと名付けられてるんだけど、なんか、ホント、緑が命を持った生き物みたいに見えた。

いやぁ。美しい料理というのはあるけど、雰囲気のある料理ってのはなかなかない。なんか物語を感じるというか、ポエティックなのよね。そういう意味では、フィナンシェだけ文字通りちょっと浮いてたかな。

料理はディナーのみで3コースが$92、テースティングメニューが$135。ワインペアリングにすると+$35とお高いですが、エレガントでヒップで料理もすごい、非常にニューヨークらしいレストラン。奮発してカッコイイ所に行ってみたい人、いつもグルメで4つ星クラスの有名処は既に押さえて、ちょっと冒険したい人にお薦めです。

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